プロードライザは、デカップリング用のコンデンサーの一種で、従来のコンデンサーよりもインピーダンス特性が広く、低インピーダンスであることから、一時DynabookのCPUの電源回路によく使用されていました。
しかし熱などでこのプロードライザが劣化すると・・・ACアダプターで全く起動しなくなったり、フリーズしたりします。
修理でプロードライザを交換しても、暫くするとまた電源が落ちたり、治ったと思いご返却して暫くすると再発したり、新品のプロードライザに交換してもダメで数個交換して程度がよくなるなど、必ず治るわけではないようでしたので、暫くこの関連の修理はお断りしておりました。
その後、プロードライザに粗悪品が出回っていることがわかり・・・何個も交換して程度がよくなるということも納得できました。
プロードライザをあきらめて、代わりにチップタンタルコンデンサーを複数取り付けて、同容量にして対応する、CPU電源回路のインダクタの容量を変更するなどの対処方法を見つけました。
たまたま、ご近所さんでDynabook AX/52Fで、ACアダプタだとログイン画面に行く前に電源が落ちてしまうという修理のご依頼がありましたので、チップタンタルコンデンサーとインダクタを用意して修理してみることにしました。
まず状況の確認です。ACアダプタをつないでいると・・・ログイン画面の途中でも電源が落ちてしまいます。バッテリーだと問題なく起動し動作しています。
典型的なプロードライザ故障の現象です。
コンデンサーとインダクターを両方交換するのではなくて、まずプロードライザをチップタンタルコンデンサー4個に交換してみました。

ランド間の幅が狭いので、レジストを削って半田付けしました。
この状態で、元に戻してACアダプタで起動してみると・・・全く問題なく起動して電源が落ちることがりませんでした。効果がありそうです。
そしてたまたま偶然だと思うのですが、以前パソコン教室を行ったお客様から・・・Dynabook TX/66Cが起動の途中で画面が乱れてフリーズしてしまうご連絡がありました。
この機種もプロードライザを使用している機種でしたので、チップタンタルコンデンサーに交換してみることにしました。
こちらも、交換後は画面が乱れたり、フリーズすることがなくなりました。
インダクターは交換しなくてもよいみたいです。
ここからは、どらともの推測です。
プロードライザ(コンデンサ)とインダクタで、CPUの電源のノイズを吸収(軽減)しているのですが、プロードライザが劣化して(AX/52Fは、内部が炭化していました)容量が減少してしまうと、ノイズを吸収するのに効果がある周波数帯域が変化してしまします。
そのためにCPUの電源に高周波のノイズが乗ってしまい、誤動作(再起動や電源断)が起きてしまうと思われます。
プロードライザを複数のチップタンタルコンデンサに交換し、ほぼ同容量にすることで、ノイズ吸収に効果のある周波数帯域に戻り、正常動作するようになったと思います。
プロードライザをそのままで、インダクタを交換すると治るというのは、プロードライザの容量が減少した分を、インダクタの値を大きなものに交換することで、元々のノイズ吸収周波数に戻り、正常動作するのだと思います。今回はインダクタの交換での修理は行いませんでしたが、インダクタ自体は滅多に故障することはないので・・・故障しているプロードライザをチップタンタルに交換する方が修理としてはよいと思います。
今回のチップタンタルコンデンサーへの交換で完全に治るのかは、まだ修理後の時間があまり経過していないのではっきりとわかりませんが・・・今回の2人のお客様は、たまたまご近所様なので、再発すればすぐにご連絡いただくようにお願いしてあります。
数か月様子を見ていただいて、再発や変な現象が起きなければ効果がありと判断して、本現象の修理を再開したいと思っています。
その場合は、こちらのブログでもお知らせ致します。
<追記> 2014.12.19
その後、プロードライザをチップタンタルコンデンサーに交換する方法が効果ありと判断いたしまたので、修理を再開しました。
詳細は、こちらのブログまで。